子どもが失敗したり、辛いことがあったとき、どんな声かけをしてあげたらいいのか悩んだことはありませんか? そんなときにおすすめなのが、宮川ひろさんの児童文学『わすれんぼうにかんぱい!』。
「忘れる」という一見“ダメ”に思える行為をポジティブに捉え直すことで、子どもが失敗やつらさから前向きに立ち直るきっかけを与えてくれます。新しい環境に適応し、自己肯定感を高めるヒントが満載のこの作品を、ぜひ親子で読んでみませんか?
『わすれんぼうにかんぱい!』とは?
『わすれんぼうにかんぱい!』は、児童文学作家・宮川ひろさんによる「かんぱい!シリーズ」の第4作目として、2011年5月20日に童心社から出版された本です。挿絵は小泉るみ子さんが担当。
- タイトル:わすれんぼうにかんぱい!
- 著者:宮川ひろ
- 対象年齢:小学生(特に8~12歳前後)
- ジャンル:児童文学
この物語は、主人公のまゆみが母親の入院をきっかけに、おばさんの家へ移り住むことから始まります。新しい学校や友達に不安を感じる中、「わすれんぼうになろう」という先生のアドバイスを受けて、少しずつ前向きな気持ちを育んでいくストーリーです。
あらすじとテーマ

まゆみは、新しい環境に慣れるまで苦労しますが、クラスメイトや周りの人々の「わすれんぼう」との出会いを通じて、自分自身もわすれんぼうになっていく過程を描きます。
- 失敗や悲しい出来事も、「忘れる」 ことでポジティブに捉え直す
- 「わすれんぼう」はただのダメ要素ではなく、成長のきっかけ になる
この作品は、子どもが経験する失敗や辛い状況に対して、新しい視点を与えてくれます。「無理に思い出さなくてもいい」という柔軟な考え方は、子どもの自己肯定感を高め、失敗や辛さに押しつぶされない強さを育みます。
魅力的なポイント
- 「かんぱい!シリーズ」の一部
- 「失敗」「嘘」「ずる休み」「忘れっぽさ」「けんか」など、子どもが日常で抱えがちな悩みを取り上げるシリーズ。
- 一見ダメなことをポジティブに捉え直すメッセージが共通している。
- 新しい環境への適応力を描く
- 母の入院、引っ越し、転校など、子どもが直面しそうな困難がリアルに描かれている。
- 周囲の人々との触れ合いを通じて、まゆみが前向きに変わっていく様子に共感。
- 日本の文化・風習をさりげなく学べる
- 暮らしや人との接し方など、子どもに知っておいてほしい日本の文化や風習が自然に織り込まれている。
この本が子どもの失敗や辛いことに役立つ理由
- 失敗や辛さを“笑い飛ばす”力
- 「わすれんぼう」というキーワードで、ネガティブな出来事を軽やかに乗り越えるヒントを与えてくれる。
- 自己肯定感を育む
- “ダメなこと”と思われがちな忘れっぽさをむしろ長所に変える視点が、子どもに「自分を責めすぎなくていいんだ」と思わせる。
- 共感できるキャラクター
- 主人公のまゆみだけでなく、クラスメイトや校長先生など、登場人物がそれぞれの“わすれんぼう”を持っており、子どもが共感しやすい。
読み聞かせのポイントと具体的な活用方法
- 一緒に読んで、感想をシェアする
読み終わった後に「まゆみはどうして『わすれんぼう』になろうと思ったの?」と問いかけ、子どもの感じたことを自由に話させましょう。 - 実際の体験とリンクする
「あなたも学校で似たような経験があった?」と、子どもの経験と絵本のストーリーを結びつける会話を楽しみ、共感力を育てます。 - アクティビティの提案
- 家族で「忘れるチャレンジ」:今日の小さな失敗を一度忘れて、前向きに考える練習をする。
- 劇や絵を描く:絵本のシーンを再現したり、まゆみの気持ちを表現する短い劇を家族で行うなど、遊びながら学ぶ時間を設ける。
まとめ
『わすれんぼうにかんぱい!』は、辛いことや失敗を「わすれる」という視点で乗り越えられることを教えてくれる一冊です。
- 「わすれんぼう」をポジティブに捉え直すユーモア
- 新しい環境に適応する主人公の姿
- シリーズを通じて学べる日本の文化や風習
「子どもが辛い思いをしているとき、どう声をかけたらいいんだろう?」と悩む親御さんは、ぜひこの本を手にとってみてください。きっと、子どもの心を軽くしてくれるヒントが見つかるはずです。